COLUMN

Byパイ子

2022.04.09

Vol.1 クミン
- 自由な愛と恋するスパイス -

はじめまして。パイ子と申します。

パイマー店主からの無茶ぶりを受けて、コラムを書かせてもらうことになったけど、正直スパイスの専門家でもないし、皆さんが得するような情報はお届けできないと思います。のっけからごめんなさい。

まぁでも、個人的にスパイスは好きではあるし、漢方のような役割があるってことも聞くので、もう三十路もとうに過ぎて家族や自分の健康も気になりだした私としては“もっと詳しく知っておきたい存在”ではあるんです。

しかも自宅にはネットで買った大量のスパイスも眠っていたりして…。(ただの誤発注。笑)

だからこのコラムを書くにあたっての私のスタンスは、自分のスパイス知識を少し増やそうかな、という魂胆もあります。そんな人が書いているとご理解いただいて、ゆるっと読んでいただけるとうれしいです。

 

スパイスってすごくいろんな種類があるし、効能・効果もそれぞれで、しかも歴史や文化と紐づいてくることも多いんですよね。そう考えると昔からスパイスというものは人類にとってとても身近な存在だったんだなということが分かります。

 

だからこのコラムでは、スパイスのことをまだよく知らない私パイ子が、スパイスについて調べながら日常で起こったことや思ったことと紐づけて「なんかこの話ってターメリックっぽい~」「これってチリペッパーっぽくない?」とつらつら戯言を並べていきたいと思います。

 

ちなみに調べた知識は正確なものかどうかは分からないので「へぇ~」くらいの感覚で読んでくださいね。

 

ということで、先頭バッターならぬ先頭スパイスは“クミン”です。これからどうぞよろしくお願いします。

 

....

 

 

クミン

セリ科の一年草で、エジプトが原産地。ほろ苦い独特な香りが強く、カレーには必要不可欠なスパイスだ。様々なビタミンやカリウム、マグネシウム、鉄分など豊富なミネラルを含む他、抗酸化成分によるアンチエイジング、免疫力改善にも効果があるとされている。古代エジプトではミイラの防腐剤として使用されていたとされる。

 

 

クミンは、私がスパイスカレーを作ろうと思ったときに最初に手にしたスパイスだった。そもそも、私がカレーをスパイスから作ろうと思ったのは、他の誰でもないパイマー店主の影響である。

実は彼、私が今住んでいる地域と縁があり、イベントでわざわざこの片田舎まで来たことがあった。その際につくる場所がないからと我が家のキッチンでイベント用のカレーを仕込んでいったのだ。プロが一から作る工程を目の当たりにし「なんか理科の実験っぽくて面白そう!」と安易に思った私。今思えばこの経験が私をカレーにハマらせたと思う。

その時に半ば強制的に置いていかせたスパイスと私がスーパーで購入した安定のS&B商品でわたしのスパイスカレー作りはスタートした。

 

私個人の話をしたが、スパイスからカレーを作ろうと思った人の大半がまずはクミンを購入するのではないだろうか。“THEカレー”って感じの香りがするからやっぱり必要なのかなとも思うし、野菜と和えるだけで簡単な惣菜にもなる。私みたいに形から入るタイプの人はクミンシードをテンパリングするだけで「なんかスパイスカレー作ってる感じするやん!」って嬉しくなると思う。・・・え、私だけかな?

何にせよ、スパイスカレーを初めてつくりたいと言う人にはとりあえずクミンを買ってみれば、と私ならおすすめする。

 

ちなみに上に書いたテンパリングとは、調理の始めにホールスパイスを油で熱して香りを引き出すことを言い、これに使うスパイスをスタータースパイスという。その代表格がクミンシードだ。

 

初心者が初めて手にするスパイスであり、調理の最初に使うスパイス。

そう、クミンは“スタートのスパイス”なのだ。

このコラムの初回には最もふさわしいテーマである。

 

 

さて、クミンについて調べていた時に気になるものを見つけた。

 

“中世ヨーロッパでは、クミンの神秘的な香りが恋人の心変わりを防ぐと信じられており、結婚式で新郎新婦がポケットの中にクミンを忍ばせて出席したり、騎士が戦地に向かう際に、浮気を防ぐお守りとして、妻が騎士である夫に持たせていたという記録も残っている。”

(参考:実業之日本社「知っておいしいスパイス事典」)

 

以前私は結婚業界に身を置いていたのだが、結婚業界では儀式や風習、物事の意味合いなどが本当に深く根付いている。指輪を交換することや、贈るバラの本数、もちろん国や宗教でも違いがあり、国内でも地域ごとに特徴的な風習があったりもする。

この“結婚式でクミンをポケットに忍ばせる”というのも、もしかしたらヨーロッパのどこかの地域では今も続いている風習なのかもしれない。

 

こういった風習や儀式は文化を生むことにもつながり、大変興味深いことでもあるのだが、結婚式に思い悩む新郎新婦をたくさん見てきた私としては、もうそろそろ自由にしては、というのが本音のところ。

当時所属していたウエディング会社では、自由な結婚式を主軸に提案していたのだが、一緒に仕事をしていた仲間が話していたことを今でも思い出す。

 

「結婚式はもっと自由でいいし、二人が結婚式だといえばどんなことでも結婚式にできる気がする。豪華な食事や大勢のゲストがいなくたっていい。例えば、大事な人に書いた手紙を二人でポストに投函するというその行動ですら結婚式にすることだってできると思う」

 

巷でオリジナルウエディングという言葉が当たり前になって久しいが、本当のオリジナルとはなんなのだろう。二人の本当の結婚式とはなんなのだろう。当時からその答えは見つかっていない。

実は今の仕事で独立する際につくった私の名刺には、事業内容の中に“ウエディング”という言葉がこっそり入っている。依頼が来たことは今のところないのだが、ウエディングの仕事はやはり自分の中で特別な存在で、いつか“本当の結婚式”の答えが見つかる依頼がきたらいいなと思う。

そして世間の誰もが自由な結婚式を認める世の中になって、決まり事に思い悩む新郎新婦が少しでも減ったら私は嬉しい。

 

 

 

さて、そんなことを考えている私の結婚式はというと、こんな感じで分けておこなうことにした。

1回目は新婚旅行先に両親兄弟を呼んで。

2回目はレンタルスペースを貸し切ってのパーティ。

こうやって分けることで本当に会いたい人だけに会うというのが私たちにとって一番自由なやり方だと思ったのだ。

ちなみにパーティでは〆にカレービュッフェを提供したのだが、終わった後パイマー店主に「あのくらいの量なら俺作ったのに」と言われた。めっっっっちゃショックだった!忙しいって言っていたから諦めたのに!(と、いまだに根に持っている。笑)

ということで、別のシェフが作ったカレーではあったが、きっとクミンも入っていただろうから、それをバクバク食べまくった私たちは、中世ヨーロッパの風習的にいうとお互いの心をがっつりと鷲掴みにした仲良し夫婦でいられるに違いない。

 
 

クミンはカレーのスパイスと思われがちだが、実はいろんな料理に使える柔軟なスパイスだ。カレーのような煮込み料理の他、パンやチーズにも合い、ソーセージやミートローフ、タンドリーチキンなど肉料理にもよく使われる。ただ個性的な風味があるため、味覚が鋭いわけではない私にさえ分かるほどクミンの主張は強い。

これからの時代に結婚式を行う人たちの理想形はクミンのようなものなのではないだろうか。いろいろな形へ自由に変化させながらも、自分たちの想いや個性を貫き結婚式という場で表現する。その受け皿が、柔軟さを受け入れる世の中であってほしいと私は願う。

 

 

以上、今回は神秘的なスパイス、クミンと結婚式のおはなしでした。

投稿者紹介
パイ子
東北地方出身。パイマーくんとパイシューちゃんとともにパイマー店主に仕える食いしん坊編集者。現在夫と息子と共に暮らしている裏日本の田舎町に移住する前は、大阪で10年遊び惚けていた。カレーはレシピを見ないで最終形態を楽しむ派。以前からハマっているチャイ作りで自分のベストを見つけられないことが最近の悩み。趣味は美味しいものと街中の面白いものを探すこと。大阪のカラッとした天気が恋しい日々を過ごしている。

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